素人さんが自分で鍼(針)治療しない方が良い理由

ユーチューブに自分で自分に鍼(針)を刺す動画がアップロードされていました。
動画の主さんは無資格だけど、時々自分で自分に鍼を刺しているそうです。
確かに、自分で自分に鍼を刺している分には法律上は特に問題ないです。
だけど、知識がなくて鍼治療をするのは危ないよ!最悪、死ぬよ!と思ったので、
具体的に、何が危険なのかを書かせていただきます。

そもそも、医療従事者でないと鍼が買えないはず???
と思ったら、amazonさんは
『このページには、医療従事者のみ購入可能な医療機器が含まれています。
あなたは、医療関係従事者ですか?
[はい][いいえ]』
と警告文は出るものの、はいを押せば購入できるみたいです。

(え、それでいいの?と思ったのは私だけではないはず。)
ちなみに、購入されたとしても、廃棄の問題があります。
鍼は医療廃棄物なので、専門業者さんに廃棄してもらわなければなりませんのでお気をつけください。

話を戻して、ユーチューブの鍼動画ですが、投稿者さんは腕が疲れているとのことで、腕に鍼を刺していました。
腕の疲れ等に鍼治療は確かに効果が高いと思います。
ただ、やり方がすごく雑・・・と言うか、鍼灸師なら自分で自分に打ったとしても、あんなやり方はしないなーと思いながら動画を観ておりました。
そのまましばらく観ていると、おもむろに主さんが「背中の背骨の横が凝るから、そこに自分で鍼を刺すこともある」と仰るではないですか!
正直、それには大変驚き、背筋が凍りました。
鍼灸師ならそれがどんなに恐ろしい事かすぐにわかりますが、一般の方には伝わらないと思いますので、昔話をひとつ。

日本のどこだかの治療院で、無資格の施術者が患者さんに鍼治療を行ったそうです。
その際に肩や背中に鍼を打っていたそうで、その時に誤って鍼を肺に刺してしまい、気胸になってしまった事例が新聞記事になったことがあります。
(※通常、鍼灸治療を行うのは有資格者で、鍼を抜くだけでも資格が必要です。)

一見、肩や背中は危険な場所ではなさそうと思われがちですが、
鍼灸学校で一番初めに注意され、その後も口酸っぱく注意されるのが背中、肩への施術です。
その奥には肺があるので、肺に鍼を刺してしまうと、気胸になって肺が機能しなくなり、呼吸困難になります。
背中や肩への鍼は素人さんがやると本当に危険な部位です。
洒落にならないので、絶対に肩と背中へ素人さんが鍼を刺すのはやめてください!
下手したら死にます。(まじで)

私が知る限り、鍼灸師でも自分で自分に鍼を刺す際に、そのあたりに刺す人は聞いたことがありませんし、
私もそのあたりに自分で刺す事は恐ろしくて出来ないです。
通常、患者さんに鍼をする時は鍼先の方向が把握できていますが、
自分で自分の背中側に刺すとなると、腕が捻じれた状態で鍼を刺すことになり、
鍼先の方向がどこを向いているか、どの程度刺入されている(刺さっている)かなどの情報が把握しにくくなり、鍼のコントロールが非常に難しくなるためです。
鍼の状況が把握できないと言うことは、近くに崖がある場所を暗闇の中進むようなものです。
どの程度危険な事かご理解いただけるでしょうか?
ちなみに、鍼灸学生に刺されるとしても、3年生以上じゃないと刺されたくない部位ですね。(笑)

以上、怖い事書きましたが、きちんと資格がある鍼灸師なら超常識的な事で、
鍼灸学校で危険な場所がどこで、どのようにすれば安全に施術できるか習いますし、学生のうちに、変な汗をかきながら学生同士で何度も練習して、技術を習得しています。
なので、鍼灸師から受ける鍼灸施術については全く心配はいりません。
そのための資格です。安心して治療を任せてください。

※動画の主さんも、最後の方に「鍼はちゃんと資格がある人にやってもらった方が良いです」と言ってました。
そりゃそーだ。(笑)