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自分で鍼(はり)するのは危険?危険な鍼と安全な鍼の違いとは?

鍼灸院で鍼してもらうのは高いし、時間もかかるし、予約も面倒。
鍼さえ手に入れば自分で針刺せばいけそうじゃない?
家族にやってもらってもいいし、家族にもやってあげられるし…
鍼はどこで手に入るんだろう?

と思ってググったあなた、
ちょっとまったー----!!!!

その気持ちめっちゃわかります!
…が、知識がなくて自分や他人に鍼するのはやっぱり危険です。

今回は、素人さんが扱うには危険な鍼のご紹介と、その鍼の何が危険なのかをお話しします。
最後に素人さんでも安全に扱える鍼をご紹介しますので、安全に自分で鍼をしたい人は是非参考にしてくださいね!

この記事を書くことになったきっかけ

以前、youtubeで素人さんが自分で自分に鍼を刺すという動画がアップロードされていました。
配信者さんは無資格だけど、時々自分で自分に鍼を刺しているそうです。
その動画では、腕が疲れているとのことで、腕に鍼を刺していました。
腕の疲れ等に鍼治療は確かに効果が高いと思いますし、腕や脚は鍼灸師も自分で自分に刺したりする場所ですし、
学校で最初に人間に刺す時に自分の脚を使って練習したりするので、比較的危険度は低い場所です。
そのまましばらく観ていると、「背中の背骨の横が凝るから、そこに自分で鍼を刺すこともある」と配信者さんが仰るではないですか!

正直これには背筋が凍りました。。。

ここで、鍼灸師界隈では非常に有名な無資格施術によるはり治療で起こった事故をご紹介します。

大阪府池田市の「メイプル鍼灸(しんきゅう)整骨院」で女性患者が無免許の施術者にはり治療を受けた直後に死亡した事件で、業務上過失致死罪などに問われた同院元副院長、岡村祐樹被告(27)に対し、大阪地裁(増田耕児裁判長)は7日、懲役3年、執行猶予5年、罰金50万円(求刑懲役3年、罰金50万円)の有罪判決を言い渡した。
増田裁判長は「安全なはりの深さなどの認識が乏しく、必要な専門的知識や技能を十分有していなかった」と指摘。「危険な施術を繰り返した過失は大きく、結果も極めて重大」と述べた。
「(中略)」
判決によると、岡村被告は2009年9~12月、無免許で14回にわたり箕面市の上田清美さん(当時54)らにはり治療を行い、同年12月、上田さんの背中にはりを深く刺して気胸を発症させ、低酸素脳症で死亡させた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0701V_X01C10A2CC0000/

通常、鍼灸治療を行うのは有資格者で、鍼を抜くだけでも資格が必要です。
なので、無資格の施術者が鍼を刺すなんて言語道断なのですが…

一見、肩や背中は鍼を刺しても危険な場所ではなさそうと思われがちですが、
鍼灸学校で一番初めに注意され、その後も口酸っぱく注意されるのが背中、肩への施術です。
その奥には肺があるので、肺に鍼を刺してしまうと気胸になって肺が機能しなくなり、呼吸困難になります。
背中や肩への鍼は知識、技術がないと本当に危険な部位なんです。。。

私が知る限り、鍼灸師でも自分で自分に鍼を刺す際に、そのあたりに刺す人は聞いたことがありませんし、
私もそのあたりに自分で刺す事は恐ろしくて出来ないです。

通常、患者さんに鍼をする時は鍼先の方向が把握できていますが、
自分で自分の背中側に刺すとなると、腕が捻じれた状態で鍼を刺すことになり、
鍼先がどこを向いているか、どの程度刺入されている(刺さっている)かなどの情報が把握しにくくなり、鍼のコントロールが非常に難しくなるためです。

鍼の状況が把握できないと言うことは、近くに崖がある場所を暗闇の中進むようなものです。
どの程度危険な事かご理解いただけるでしょうか?

肩や背中は私たち鍼灸師が学生の練習で刺されるとしても、3年生以上じゃないと刺されたくない部位ですね。(笑)

以上、怖い事書きましたが、きちんと資格がある鍼灸師なら超常識的な事で、
鍼灸学校で危険な場所がどこで、どのようにすれば安全に施術できるか習いますし、学生のうちに、変な汗をかきながら学生同士で何度も練習して、技術を習得しています。
なので、鍼灸師から受ける鍼灸施術については心配はいりません。

そのための資格です。安心して鍼施術を任せてください。

素人が扱うには危険なプロ仕様の鍼: 毫鍼(ごうしん)

先ほどはちょっと怖い話をしましたが、実は鍼には色々な種類があって、刺さない鍼なんてのもあるんです。
鍼と言って一般の方が思い浮かべるのは、韓国ドラマでよく使用されるような長くて細くてぶすっと刺さる痛そう~な鍼だと思います。
素人さんが扱うのに危険な鍼というのはそれの事です。
名前を毫鍼(ごうしん)と言います。

毫鍼は一般的な鍼灸施術で使われる鍼で、
日本では太さ0.10mm~0.20mmの鍼を使用する鍼灸師が多いです。
中国では、日本で使用される鍼より太く長いものを使う事が多く、0.28mm~0.38mmの太さの鍼を使うことが多いようです。

鍼の太さが太くなると、刺激は強くなります。
刺激量は施術を受ける人の体格や鍼灸施術の経験、好みなどによって使い分けます。
鍼の長さは 施術を受ける人の体形や施術部位の厚みよって適宜選択します。

美容鍼など脂肪の少ない場所や、ツボを刺激するためにごく浅く刺したい場合は、数ミリ刺されば良いので、短い鍼を選択することが多いです。
逆に、坐骨神経痛などでお尻に刺したい場合、脂肪の多い場所に刺す場合は程度ある長さのある鍼を使用します。
なので、やせ型の人とぽっちゃり型の人では脂肪の厚みが変わるため、選択する鍼の長さは変わる場合があります。

また、鍼は根本まで全部刺すわけではなく、通常刺さっていない部分を1センチ前後残すように刺します。
なので、例えば1センチ(10mm)の深さまで刺したい場合は鍼長20mm以上の鍼を選択します。

最近は日本では滅菌加工が施されたディスポーザブル(使い捨て)の鍼を使用している鍼灸院が多く、衛生面でもより安全になっています。

また、鍼の廃棄は医療廃棄物として専門業者さんに廃棄してもらわなければなりません。
こういった意味でも一般の方が毫鍼を使うのは難しいですね。

素人でも安全に使えるはり4選

毫鍼が危険なのはわかった。
じゃあ今度は、一般人でも安全に使える鍼を教えて欲しいな。

では、ここから一般の方でも安全に扱える鍼をいくつかご紹介しますね。

素人さんでも安全に扱える鍼は大きく分けて『刺さる鍼』と『刺さらない鍼』に分けられます。

今回ご紹介する安全な鍼は4種類。
円皮鍼、集毛鍼、ローラー鍼、てい鍼です。
その中でも円皮鍼は刺さる鍼。
てい鍼、集毛鍼、ローラー鍼は刺さらない鍼です。

刺さる鍼:円皮鍼

円皮鍼は非常に細く短い鍼を使っていて、痛みもほとんどなく、刺したまま日常生活ができる鍼です。
刺した鍼が抜けないようにシールでとめて使用します。
今は鍼にシールもついていて、ワンタッチで使えるタイプのものも販売されています。
中でも、セイリンさんのパイオネックスは高品質で個包装、さらにプロ用鍼の毫鍼と同じで滅菌処理されているため、衛生面でも安全性でもイチオシ。

肩こりや腰痛、腕や腕の疲れなど色々な場所に使えて、顔に使えば寝ながらセルフ美容針ができる優れものです。

パイオネックスのオススメは0.6mm(イエロー)
顔にも体にも違和感なく使えます。

刺さらない鍼:てい鍼

てい鍼は撫でたり擦ったり押圧したりして、血流の改善や凝りをほぐす鍼です。
てい鍼はもともと、中国で小児や虚弱な方に使う鍼として考えられたもので、刺激も非常に少なく、刺さらないので一般の方も安全に使用できます。
鍼灸院では主に子供に対する鍼灸治療(小児はり)で使用することが多いです。
稀に、全ての方にてい鍼を使用して施術を行っている鍼灸院も存在します。

刺さらない鍼:集毛鍼

集毛鍼は刺さらない鍼をまとめたもので、皮膚に接触刺激を与えて血流を改善させる鍼です。
内部にスプリングが内臓されており、鍼が皮膚に接触した時に針が筒の中に沈み込むため、刺さらず一般の方でも安全で使いやすい鍼です。

集毛鍼は小児鍼として使用できます。
その他、円形脱毛症などの方の脱毛部位の血流促進、セルフ美容鍼などにも使用できるので、一般の方でも気軽に使いやすい鍼です。

集毛鍼は一般の方が使うなら弱刺激のものがオススメです。

刺さらない鍼:ローラー鍼

ローラー鍼は名前の通り、ローラーの形をした鍼になります。
ローラー部分を転がすようにして皮膚に刺激を与えて血流を改善させる鍼です。

ローラー鍼も小児鍼として使用できます。
その他、自分でやるセルフ美容針やペットへの鍼灸施術にも使用できるので、汎用性は高いです。

ローラー鍼も一般の方が使うなら弱刺激がオススメです。

集毛鍼とローラー鍼にはお得なオールインワンタイプもあります!

さいごに

色々怖い話もしましたが、危険な鍼はプロに任せてもらえれば安全です。
ご自身で使うなら安全に使える鍼をぜひ使ってみてくださいね。

それでは、良い鍼灸ライフを~♪